我が国の緑豊かな山々と水系に恵まれた地形は、水力発電に適していると言われています。
天然の資源に乏しく、国土が狭い我が国にとって、水力発電は貴重な純国産のエネルギー源と言えるでしょう。
近年、過疎化や高齢化に悩む山間地域を活性化するために、地域固有の資源である『水』を生かした電力エネルギーの『小水力発電』に期待が高まっています。
地域を流れる渓流や河川などから引き込んだ水流を利用する小水力発電は、得られる電力は小さいものの、未利用エネルギー源の有効活用として
期待されています。
中部地方、特に岐阜県や静岡県は、豊富な流量と山間の地形が生み出す落差があるため、資源エネルギー庁の(構造推力量調査)においても水力発電源として開発可能な河川のエネルギー量は国内有数の地域に選ばれています。
小水力発電は太陽光発電に比べ、
・昼夜を問わず安定した電力が得られること
・出力の変動が少なく系統安定電力品質に影響を与えないこと
・接地面積が小さいためダムなど新たな開発を必要としない
・自然形態を損なわず、森林などの自然にやさしいこと
など数多くのメリットを持っています。
またBCP対策として、有事の際には小水力発電所で生まれた電気は蓄電池に蓄えられ、災害による長期停電時には非常用給電として活用される等のメリットもあります。
岐阜県中津川市加子母地区において2023年度に運転を開始した裏木曽小水力発電所は、地域で最初の民営の小水力発電施設です。
この発電所は森林を流れる加子母川の支流となる渓流の水を利用して水力発電を行い、地域の電力として活用しようとする地方創生事業です。
裏木曽小水力発電所の構造は渓谷を流れる川の水をヘッドタンクに溜めた後、急峻な渓谷に設置した水圧管路の中を水が通り、その力で水車を回して発電を行います。ヘッドタンクの役割は、水をためて圧力を調整することと砂やゴミの除去となります。
発電機に水を送るための水圧管路は、直径15cmの高密度ポリエチレン製、三条並列構成で総延長は566.5m、ヘッドタンクから発電機までの標高差は92.1mです。
標高差によって圧力を得た水はペルトン水車に送られ、先が細くなったノズルから噴出する水の力で水車を回転させ、その力で発電機を回して電力を発生させます。
この発電所で生み出される電力は、
・使用最大36.5kW
・常時予想出力24kW
・年間発電量は178,691kWh
となり一般住宅42世帯分の電力を賄うことができます。
この裏木曽水力発電所で生まれた電気は蓄電池に蓄えられ、災害による長期停電時には非常用給電として活用されます。
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